Click (もしも昨日が選べたら)(2006)

Director: Frank Coraci

Cast: Adam Sandler, Kate Beckinsale, Christopher Walken, David Hasselhoff, Sean Astin, & more

Summary: Michael Newman seems to have a perfect life- a beautiful wife, two small children, and a job with great potential. But as his jerky boss passes Michael up for promotion after promotion, Michael becomes fed up, and wishes he could find a way to just, oh, skip through the hard parts in life. He gets exactly that -and much, much more- when he stumbles upon the Beyond section of a Bed, Bath, and Beyond in search of a universal remote. But as it turns out, the remote controls, well, the entire universe! At first this seems a blessing, but as the remote begins to program itself Michael finds his life skipping by, sometimes a few months, sometimes years. Will he be able to get his life back before its entirely gone? (IMDb)

愛する妻と2人の子供を持つマイケル。彼は出世こそが家族の幸せと考え、家族と過ごす時間よりも仕事を優先させてきた。そんなある日のこと。彼は人生さえも自在に操れてしまう万能リモコンを手に入れる。そしてそのリモコンを使い、家族との面倒な時間や出世までの道のりを早送りしてしまうマイケルだったが、失われた時間の代償は大きかった…。(goo映画)


DVDは発売直後に買ったけど、結局ずっと見れなかった映画。邦題が日本語というのも最近知りました。"Hidalgo"に「オーシャン・オブ・ファイアー」とか付けられた日には驚きと怒りで声も出なかった私なので少し嬉しかったのですが、日本版トレイラー観てがっかりしました。プラマイゼロです。何が言いたいかというと、これじゃぁ完璧に感動モノのムードじゃないか、と。確かにこれは全米が泣いたと思いますけど(笑)、アメリカで公開する際は誰しもがコメディだと思ってましたからね。「クリック」という題、コメディシーンだけをつなぎ合わせたトレーラー、そしてアダム・サンドラー。多少の感動エピソードはあっても、基本コメディだと思うでしょう、これは!それが期待を裏切る、超感動映画だというのがこちらの製作者のトリックではないでしょうか。まあ、これを確実に成功させるにはアダム・サンドラーのコメディアンとしての絶対的知名度がいるわけで、そういう意味では日本の配給側の選択は間違ってなかったのかもしれませんけどね。でもやっぱりアダム・サンドラーの映画ですから、前編コメディタッチ。いつも通りプロデューサーも兼任ですね。彼の笑いは下品なものも多いですけど、彼のキャラクターと演技力あってのものです。

物語は近所のBed Bath & Beyondから始まります。正確にはここから映画が始まるわけではないですが、ここに例の"ユニバーサルリモコン"があるわけですね。これ、めちゃくちゃおもしろいですよ。あぁ、Bed Bath & BeyondのBeyondはこういう事だったのか!と。補足しますと、Bed Bath & Beyondというのは全米どこにでもある巨大生活雑貨店で、名前の通り寝室やお風呂周り、加えて食器や数々の便利グッズ、ジャンクなどが売ってある、倉庫のような店です。店内は正にあんな感じで、すごくゴチャゴチャしてます。両親がこの映画を観たのは去年の11月くらいだと思いますが、この店で買い物をした後に観たので非常に驚いたそう(笑)。Beyondはまあ、「先、向こう」という意味がありますよね。そして、「時を過ぎて」。この時点ではまず「進んでいる」という意味ですね。その、Beyondと書いてあるドアの向こうには怪しいオヤジ・モーティがいて、Way Beyond(もっと先)、そしてReally New Stuff(すごく新しいモノ)へと導くわけですが、もうすでにふざけてますよね。で、なんにでも使えるUniversal Remort Controllerが欲しいというので、Universe(宇宙)をコントロールするリモコンをくれる。始めは便利だと思っていろいろ遊んでみたり、いやな事も全部早送り。でも途中から大事な事を全部飛ばしてしまっている事に気づいてしまうんですね。リモコンは過去のメモリーを使ってどんどん人生を早送りしてしまうし、戻そうと思っても戻せない。戻って「見る」ことはできても、自分が立ち会ってない、つまり経験していない場面には戻れない。この状況に自然に移行するシーンの並べ方はすごいです。マイケルの顔色が変化していき、笑っている場合ではない事に気づかされてしまう。話がどんなに進んでも笑いどころは作っていますが、それも総じて根底にあるものを引き立たせます。後戻りは出来ない状況に戸惑うマイケルの些細な抵抗。マイケルが家族に看取られて死んでいくシーンは我慢してたのにやっぱり泣いてしまいました。最後は。。。モーティがおもしろかったです(笑)

細かい事つっこんでいくといろいろありますが、まずヤンキースの松井が出てきた場面。松井は個人的にアメリカに来たのが同時期(半年違い)というのもあって応援しておりまして、アメリカでの人気も相当なもんです。彼は本当に大リーガーですよ。で、ライアーライアーの劇中でのキャッチボールシーンで野茂さんの名前が出るんですけど、それもやっぱり大リーガーとして有名で認められているからなんですね。つまり、ここで松井が出てくるのはもう普通になっているという事。なんでこんなことをくどくどと言っているかといいますと、ハリウッド映画に日本人とか日本の報道とか日本が少しでも出てくると「日本にこびを売っている」と思われる方がいるからです。この映画にも日本人のクライアントが出てきて、日本語で喋っているのを訳すととんでもない事を言っている。。。というシーンがありますが、それだって私は素直に笑っていいと思います。アメリカの映画制作者が日本をちょこっと入れるのは、世界の広さをあらわす為。または宇宙戦争でスピルバーグ監督がしたように、敬意を払っての事もありえます。この映画の日本のクライアントのシーンに関しては、日本がアメリカと大きく違う文化や言葉を持っていること、そして多少バカにしても国単位で怒ったりしない大国と認識しているからです。こんな扱いを受けて、けしからん!と、戦争やテロをけしかけるような国ならこんなことしませんよ。映画制作者もそこら辺を理解してのことだと思います。多分。だから素直に笑ってしまっていいのでは。明らかにこびは売れてないですしね。

ハッセルホフはこんな所にいたんですね。スポンジボブの映画以来です。ロード・オブ・ザ・リングのサムが出ていたのも嬉しかったです。彼(ショーン・アスティン)主演の映画で「ルーディ」というのがあって、おすすめの映画のひとつです。ブリトニー・スピアーズは23人目の子供を妊娠したんですか。マイケル・ジャクソンは自分で自分を訴え出したんですか。2大ゴシップはここでも出てくるんですね。。。リモコンの機能では、コメンタリーが個人的にお気に入りでした。DVDのコメンタリーって時間が無くて聞けないんですけど、なかなかおもしろいですよね。近未来の描写については特記することはありませんが、ネクタイがちょっと気になったくらいですね。どうなってるんだろ。もし私がお医者さんだったらあの格好は嫌です。納得はいくんですけど、鎖かたびらにしか見えないので。

コメディとして扱って、見る人見る人を感動させて欲しい映画です。だまし通して欲しいですね。私は見るたびに泣いてしまうような気が今からしております。

(February, 2007)